【12月23日 AFP】ノルウェーの最高裁は22日、北極圏での石油探査を阻止しようとする環境保護団体の訴えを退けた。

 訴えていたのは、国際環境NGOグリーンピース(Greenpeace)と環境活動家の国際ネットワーク「地球の若い友人たち(Young Friends of the Earth)」のノルウェー支部の2団体。両団体は2016年のバレンツ海(Barents Sea)での石油探査免許10件の交付について、違憲だと主張していたが、最高裁は11対4でこれを棄却した。

 両団体は、産業革命前からの世界の気温上昇を2度未満に抑えることを目指す国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」を引用し、石油探査免許の交付は、万人に健全な環境を保障するノルウェー憲法112条に反すると訴えていた。

 最高裁判事の過半数は、国が気候変動抑制と環境保護に関する義務を果たさなかった場合は憲法112条に抵触する可能性があるとする点で両団体の主張に同意したが、本件はそれに該当しないと判断した。

 また、最高裁は、石油探査免許の交付は欧州人権条約(European Convention on Human Rights)に反しないと判断。その理由の一つとして、生命および身体の不可侵性に対する「現実的かつ差し迫ったリスク」に相当しないと述べた。

「地球の若い友人たち」ノルウェー支部の代表は、「われわれは、若者と将来の世代に憲法による保護を与えないこの判決に憤慨している」と最高裁の判断を批判。「最高裁は住みやすい未来に対する国民の権利よりも、ノルウェーの石油への忠誠を選んでいる」 (c)AFP