【12月23日 AFP】英イングランド南東部で感染が広がる新型コロナウイルスの変異種について、コロナの変異追跡プロジェクトを立ち上げたエマ・ホッドクロフト(Emma Hodcroft)氏は、欧州での感染封じ込めは手遅れではないとAFPに語った。

 一方で、変異種がすでに気づかれぬまま他国に広がっている可能性は十分にあるとも述べた。

 英米にルーツを持つホッドクロフト氏はスイス・ベルン大学(University of Bern)に籍を置く分子疫学者で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異種の発生を観測するために世界中の新型コロナウイルスの遺伝子配列データを解析するプロジェクト「ネクストストレイン(Nextstrain)」の共同設立者でもある。

 新型コロナウイルスの変異種について、ホッドクロフト氏に聞いた。

Q:今回見つかった新型コロナウイルスの変異種の封じ込めは、手遅れか?

A:欧州に関しては、手遅れだとは思わない。

 欧州でこの変異種の感染事例がもっとあるものの、まだ検知されていないという可能性は十分にある。

 この変異種の感染件数が少なければ、封じ込めはまだ可能だと考える。もし感染者が少数で、彼らがガイドラインに従いマスクを着用するなど正しく振る舞ってくれたら、それ以上感染は広がらないだろう。

 もし、英国の科学者らが考えているようにこの変異種の感染力が高ければ、この変異種に対処する最善の方法は、残念ながら私たちが取っている現在の手法を続けることだ。

Q:英国内で、この変異種を封じ込めることは可能か?

A:英国内で規制をかけることはより難しいので、英国内での封じ込めは厳しい。

 ベルギーでは「英国発の航空便は着陸不可」というようなこともできるが、英国で「ロンドンの皆さん、道路を封鎖します、移動はできません」と言うことは、現実的にはできない。

 やってみる価値がないというわけではなく、イングランド南東部だけに感染を封じ込めることは、特にクリスマスが目前に迫っている状況では、難しいという意味だ。

Q:英国発の渡航は禁止するべきか?

A:各国が英国発の渡航に対して何か措置を取るならば、向こう数日間は知恵を絞り、どのような手段を講じるか慎重に検討する必要がある。

Q:旅行は変異種の拡散にどのような影響を及ぼすか?

A:残念ながら、これまでに分かっていることによると、例えば今夏、スペインで発生した変異種が欧州で感染拡大したように、旅行と休暇中の活動はウイルスやその変異種を本当に驚くほど効果的に伝染させることが分かっている。

 行動を急ぎすぎないことと、待ち過ぎれば感染拡大を阻止する機会を逸してしまうかもしれないこととのバランスを取りつつ、(中略)どのくらい待つかが問題になる。