タイ首相、コロナ集団感染で外国人労働者を非難
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【12月22日 AFP】タイのプラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)首相は21日、同国最大の水産市場で起きた新型コロナウイルスの集団感染について、国内エビ産業で働く低賃金の外国人労働者を非難した。
タイでは17日、首都バンコク近郊サムットサコン(Samut Sakhon)県マハーチャイ(Mahachai)の市場でエビを販売していた67歳の女性の感染が確認された。
接触者の追跡と集団検査が実施され、マハーチャイの市場に関連する感染者は800人を超えた。タイの新型コロナ感染者はこれまで、4000人余りにとどまっていた。
感染者の大半はミャンマーからの出稼ぎ労働者で、エビ漁船や加工工場で働いている。
プラユット氏は21日、今回の集団感染は不法外国人労働者を雇っている工場の責任だと指摘。これらの労働者はミャンマーから不法入国しており、「こっそり(タイから)抜け出しては、戻ってくる」と非難した。
タイと約2400キロにわたり国境を接しているミャンマーでは8月以降、新型コロナ感染者が急増しており、現在1日約1000人の新規感染者が確認されている。
タイ保健当局は、マハーチャイ市場の感染率は「約42%」だと述べた。
市場とその周辺地区は19日以降封鎖されており、数千人の居住者は地区外に出ることを禁じられている。21日には市場の周りに有刺鉄線が設置され、地区内に残された労働者らに当局が食料を配布した。
エビの輸送に携わるミャンマー人のミン・ミン・トゥン(Min Min Tun)さんは、タイ人が証拠もなくミャンマー人を責めるのは「不公平で、一方的だ」と話した。
トゥンさんによると、誰が検査で陽性になったか知らされておらず、労働者らは不安に陥っているという。
タイ経済は、隣国ミャンマーとカンボジアから来る数百万人の低賃金労働者に大きく依存しており、タイの水産業や製造業、建築業、サービス業はこれら労働者により支えられている。
だが、外国人出稼ぎ労働者は差別に直面している。今回の集団感染で、タイ人の間では反ミャンマー感情が広がっている。マハーチャイのタイ人も例外ではない。
市場前に屋台を出しているマニーラット・ジェークパン(Maneerat Jekpan)さんは、自分が「反ミャンマー人」だと認める。「いかなる状況でも彼らに近寄らない」
そのような反感にもかかわらず、マニーラットさんは食べるものがないことを心配し、域内に閉じ込められた労働者らに食料を持ってきた。(c)AFP