【12月23日 Xinhua News】現在幅広く使用されている人工板の多くは、ホルムアルデヒドを含む樹脂接着剤で木くずを接着して作られるが、汚染をもたらす恐れがある。中国科学技術大学教授で中国科学院院士(アカデミー会員)の兪書宏(Yu shuhong)氏が率いる研究チームはこのほど、バイオマスミクロ構造の解析を進め、天然構造の全く新しいバイオマス表面ナノ化戦略を用いた接着剤不要の新型バイオニック木材を作り出した。

 研究者によると、こうした高性能のバイオニック木材では、マイクロメートル級の木くず粒子の表面に大量のナノファイバーが露出しており、これらのファイバーがイオン結合、水素結合、ファンデルワールス力(分子間力)、物理的もつれなどの作用を通じて結合することで、互いに絡み合うナノファイバー網となっている。いかなる接着剤も添加する必要がなく、木くず粒子はこれらのファイバー網によって緊密に結びつき、高強度の緻密構造を形成している。

 実験結果では、ナノ化戦略を用いて調製したバイオニック木材の力学的強度は天然の実木や旧来の人工板を上回っている。大きな寸法の材料に仕上げることもでき、抜群の難燃性、防水性、電気伝導性、電磁シールド性を備える。1・75Vの低電圧下で自己発熱も可能で、5分以内に温度を60度まで上昇させることができる。こうした特性は自己発熱設備の安全性を効果的に高めるほか、エネルギー消費を減らすことができる。

 研究成果はこのほど、中国の学術誌「国家科学評論(National Science Review)」に発表された。(c)Xinhua News/AFPBB News