【12月20日 AFP】ギリシャのレスボス(Lesbos)島カラテペ(Kara Tepe)にある移民収容施設で今週、3歳の女児が性的暴行を受ける事件が発生した。これを受けてノティス・ミタラチ(Notis Mitarachi)移民政策相は19日、この施設の安全性を擁護し、その環境は9月に火災が起きた施設よりも大幅に改善されていると主張した。

 ミタラチ氏は取材を許可することが少ないカラテペの施設を記者団に公開し、「安全と秩序の面で非常に良好な状態だ」と説明。過密と不衛生な環境で知られ、放火とみられる火災で焼失したレスボス島モリア(Moria)の移民収容施設を引き合いに出し、「ここはモリアとはまるで違う」と述べた。

 また、300人規模の専任警察部隊が施設に配置されていることを挙げ、「(過去に)こうした安心感はなかった。無法地帯だった」とAFPに語った。

 カラテペにある32ヘクタールの施設には、テント850張りが設置され、7000人超が収容されている。

 この施設では今週、雨による浸水被害が発生した上、14日にはトイレでアフガニスタン人の女児(3)が半ば意識不明の状態で血を流しているところを発見された。地元の医療関係者によると、女児は病院に搬送され、縫合手術を受けた。

 当局は性的暴行事件とみているが、今のところ逮捕者はおらず、捜査が続けられている。

 ミタラチ氏はカラテペの施設について、「緊急事態」下でモリアでの火災により住む場所を失った数千人を受け入れる目的で設置された暫定的なものだと強調。来年には欧州連合(EU)の支援により常設施設(最大収容人数5000人)が新たに建設され、ここに人々を移す計画だと述べた。

 政府統計によると、ギリシャの島々にある収容施設などで暮らしている移民は1万7000人を超える。

 今年他のEU諸国への移住を認められた移民の数は、ギリシャ政府や欧州委員会(European Commission)の度重なる要請にもかかわらず数千人にとどまっている。この中には病気を患っている、または同伴者がいない未成年者1300人前後が含まれている。(c)AFP