【12月19日 Xinhua News】中国のSNSで人気沸騰中のチベット族の青年タシテンジン(扎西丁真)さん(20)がこのほど、自宅のある四川省(Sichuan)カンゼ・チベット族自治州理塘県(Litang)に約20日ぶりに戻った。県の観光大使として、PR動画の撮影や654キロ離れた省都・成都市での観光イベントに参加するため、生まれて初めて格聶雪山の麓にあるふるさとの村を離れていた。

 11月半ばに動画投稿アプリ「抖音(Douyin、中国版TikTok)」に何気なく投稿された動画で一夜にして人気者となり、12月初めにはフォロワーが424万人、「いいね」の数が1117万回に到達。中国の大手旅行サイト「携程旅行網」での「理塘」の検索件数は、11月20日からの10日間で7倍に膨らんだ。

 放牧をなりわいとするタシテンジンさんだが、県の国有資産監督管理委員会が管轄する企業の目に留まり、労務契約を締結、一連の活動は同社を通して行っている。県内の観光スポット「勒通古鎮」にある音の博物館「ヒマラヤの声ミニ博物館」で解説員も務め、同鎮を訪れる観光客を増やしている。

 理塘県は標高4千メートルを超え、「天空の城」とも呼ばれる。タシテンジンさんの澄んだ瞳と純真な笑顔に加え、詩情豊かで幻想的な世界が、都会で忙しく過ごす人々の心をつかんで離さない。

 理塘県は今年2月に貧困県のリストから除外された。その背景には貧困脱却に心血を注いだ大勢の担当幹部たちの苦労があった。統計によると、四川省のチベット族地区で貧困支援のために犠牲になった幹部は30人を超える。こうした事実に触れたネットユーザーからは「貧困支援の背景が分かったことが、今回のブームの中で最も有意義なことだと思う」との声も上がっている。(c)Xinhua News/AFPBB News