【12月18日 AFP】米東海岸のカジノ都市アトランティックシティー(Atlantic City)が、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が所有していた元カジノ施設を爆破解体処理するに当たり、起爆装置のスイッチを押す権利を競売に掛けると発表した。

 トランプ氏は同市に4つのカジノを所有していたが、今回競売に掛けられるのは、2014年に営業を終了した「トランプ・プラザ(Trump Plaza)」。1984年にオープンした2棟の複合施設はトランプ氏が初めて市内に所有した物件だが、営業終了後は放置状態で、暴風雨により外壁の一部が建物の横を通る海岸沿いの遊歩道にたびたび落下していた。

 建物の所有権は2016年から、トランプ氏のカジノ事業の最大の支援者の一人だった富豪のカール・アイカーン(Carl Icahn)氏に移っている。

 アトランティックシティーのマーティー・スモール(Marty Small)市長は、トランプ・プラザによって地元住民が危険にさらされていると判断。司法手続きを取った上で、今年6月に爆破処理の方針を明らかにしていた。

 スモール市長は16日、来年1月29日に予定している爆破解体の際に起爆スイッチを押す権利を競売に掛け、落札額を市内の青少年支援団体「ボーイズ・アンド・ガールズ・クラブ・オブ・アトランティックシティー(Boys & Girls Club of Atlantic City)に寄付すると発表した。

 地元ニュージャージー州の競売会社ボドナーズ・オークション(Bodnar's Auction)は、「今こそ一つの時代に終止符を打ち、何か新しいものと置き換える時だ」と表明している。

 トランプ氏は、放置状態の建物の存在が自分の名声やブランド力を傷つけると考え、2014年にトランプ・プラザの壁面から自身の名前を取り外すよう求めて訴訟を起こしている。

 トランプ氏がアトランティックシティーに所有していた4つのカジノのうち、「トランプ・ワールズ・フェア(Trump World's Fair)」は1999年に閉店し、「トランプ・マリーナ(Trump Marina)」は2011年に売却され、最後に残った「トランプ・タージマハール(Trump Taj Mahal)」も2016年に営業を終了。運営会社トランプ・エンターテイメント・リゾーツ(Trump Entertainment Resorts)は2004年、09年、14年の3回にわたって連邦破産法11条の適用を申請し、負債を削減している。(c)AFP