【12月18日 AFP】タイ首都バンコクの空港から17日、密輸されたスマトラオランウータン2頭が故郷のインドネシアに向けて出発した。

 スマトラオランウータンは、国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト(Red List of Threatened Species)」で「絶滅危惧IA類」に分類されている。

 東南アジアでは、ペットとして販売する目的でのスマトラオランウータンの密猟が頻発。警察によると、4歳のこの2頭は観光施設に売られる予定だったという。

 野生動物の密輸業者は2017年6月、この2頭を、ハミルトンガメ39匹、インド原産のカメ12匹、アライグマ6匹と共にマレーシア経由でタイへ持ち込もうとした。しかし通報を受けた警察が、国境で押収した。

 2頭はこれまでタイにある野生動物保護センターで暮らしてきた。インドネシア到着後は、スマトラ(Sumatra)島の自然に返るためのリハビリを受ける。

 出国前に新型コロナウイルス検査も済ませ、無事帰途に就いた2頭だが、その前途は明るいばかりではない。

 スマトラオランウータンの個体数は1万5000頭に満たないとみられており、その生息地は森林伐採やパーム油栽培、採鉱によって激減している。また農業従事者らや住民が、有害動物とみなしてオランウータンを攻撃することもある。(c)AFP