【12月18日 AFP】米国の複数のイスラム教団体は17日、イスラム教徒の権益を守ることを目的に掲げる国際機構「イスラム協力機構(OIC)」について、中国のウイグル人弾圧に沈黙し、ジェノサイド(大量虐殺)とも言われる中国の行為を助長していると非難し、声を上げるよう求めた。

 イスラム諸国56か国とパレスチナが加盟し、サウジアラビアに事務局を置くOICは、イスラム教徒が不当に扱われていると判断した事例にしばしば対処しており、イスラエルを非難したり、パキスタンの要請でインドを批判したりしている。

 しかし、中国西部・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)でのウイグル人弾圧に関しては沈黙を続けてきた。

 人権団体によると、新疆ではイスラム教の慣習を根絶し、強制的に漢民族に同化させる試みの一環として、ウイグル人をはじめとするチュルク語系少数民族100万人以上が強制収容所に入れられている。

 全米最大のイスラム人権団体「米イスラム関係評議会(CAIR)」など米国の複数のイスラム教団体は、OIC加盟国は中国の力に恐れをなしていると非難した。

 米国人イスラム教徒で、学者・人権活動家でもあるオマル・スリーマン(Omar Sulieman)氏はオンライン記者会見で、「中国がイスラム世界を経済的に支配し、すべてのイスラム諸国を孤立させ、ウイグル人を支援するという大義に口先だけ賛同することさえ恐れさせることができたのは明らかだ」と指摘した。

 スリーマン氏は、パレスチナなどの支援には口先だけ賛同する国もあるが、ウイグル人問題については、特に難民認定希望者を追い返すことで、中国の弾圧を「助長」し続けるだろうと述べた。

 ウイグル系米国人のルーシャン・アッバス(Rushan Abbas)さんは、中国が巨大経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」を推進する中で、イスラム教徒に向けた政策を輸出する可能性があると警鐘を鳴らしている。

 アッバスさんは、中国には買収や脅しで各国を服従させてきた実績があるとした上で、「ウイグル人のジェノサイドは、中国の国内問題ではない。人類の問題だ」と語った。アッバスさんの活動を受けて、中国はアッバスさんの姉妹を拘束したという。

 米政府は中国のウイグル人に対する扱いをナチス・ドイツ(Nazi)の所業になぞらえており、OICが声を上げないことに失望を表明していた。(c)AFP