【12月17日 AFP】国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)は16日、スイスとフランスの機械式時計の職人の技能を無形文化遺産に登録すると決定した。両国が昨年、共同で推薦書を提出していた。

 両国の国境地帯に連なるジュラ山脈(Jura Mountains)一帯で数世紀にわたって受け継がれる職人技の無形文化遺産認定を受け、スイス文化省は「ジュラ地方を象徴する生きた伝統」に光が当たったとの見解を表明した。

 ユネスコは認定理由として、機械式時計の職人技が「科学、芸術、技術の交差点」にあると説明している。

 登録の対象は、機械式時計の製造技能と美術的技巧に加え、機械人形(自動人形)やオルゴール、機械仕掛けのカナリアなどの制作も含み、伝統的な手工業技術から最先端の革新技術まで網羅している。

 ジュラ地方は欧州の時計産業の発祥の地とされる。この地に時計職人が根付いたきっかけは、仏出身の宗教改革者ジャン・カルバン(Jean Calvin)がジュネーブの宗教改革(Protestant Reformation)に加わったことだった。スイス時計協会(FH)によれば、カルバンは1541年に装飾品を身につけることを禁止。その結果「金細工職人や宝石職人は転職せざるを得ず、それが時計制作だった」という。(c)AFP