【12月16日 AFP】米国の南カリフォルニア地域は新型コロナウイルスの新規感染者が急増し、集中治療室(ICU)が逼迫(ひっぱく)している。人口1000万人のロサンゼルス(Los Angeles)郡では15日、ICUの空きが100床を下回った。

 ロサンゼルス郡に近いベンチュラ(Ventura)郡とリバーサイド(Riverside)郡でもICUの病床使用率がそれぞれ99%と100%になったと、地元の保健当局が15日、警鐘を鳴らした。

 南カリフォルニア全域では、ICUの空きがわずか1.7%となっており、専門的な治療ができないため死者が急増する恐れがあるとして警戒感が高まっている。

 ロサンゼルス郡のバーバラ・フェラー(Barbara Ferrer)公衆衛生局長は、「病院のベッドを増やせばいいだけなのだから、それほど心配しなくてもいいと思う人も多いかもしれない。しかし、ベッドには高度な訓練を受け、熟練した医療従事者を配置しなければならない」と説明し、「医療従事者は無限にいるわけではない。毎日命を救っている人たちは疲れ切っている」と語った。

 新型ウイルス関連の入院患者数は10月中旬の6倍に増えており、患者であふれかえっている病院に搬送されるまで、救急車で5時間待たされることもあると伝えられている。

 14日にワクチン接種が始まったが、南カリフォルニアの新型ウイルス流行の第3波を食い止めるには遅すぎるとみられている。

 禁止されているパーティーや屋内での礼拝、若者のスポーツ競技会に人が集まり続けることで、1日当たりの新規感染者と死者はさらに増える恐れがあると当局は警告している。

 ベンチュラ郡公衆衛生当局のロバート・レビン(Robert Levin)氏は、「感染者や死者の数は天文学的になりつつある。死ぬ必要のない人たちが死んでいく」と語った。

 新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の発生以降、カリフォルニア州では160万人以上が感染し、うち約2万1000人が死亡した。(c)AFP