■「完全な体になる」

 バデルさんとアハマドさんは、障害者の社会参加を促す国連(UN)プログラムの支援を受けている。一時給付金と職業訓練を受け、後にフリーランスの写真家として働くためにプロ仕様のカメラも受け取った。「内戦のせいで障害者が背負っている重荷は大きく増えました」とバデルさんはいう。

 バデルさんによると、国や社会の支援を得られない中で、よりうまく生き抜いていくためにペアを組んだ人々は昔も存在した。スマートフォンをさっと取り出し見せてくれたのは、男性2人の白黒写真だった。目を閉じた男性が、トルコ風の帽子をかぶった小柄な男性を運んでいる。

 写真は100年以上前に撮影されたと言い伝えられている。2人の名はモハメドとサミルといい、モハメドさんは目が見えず、サミルさんは下半身がまひし、助け合っていたという。

 バデルさんはこの逸話や自分たちのストーリーが、障害のある他の仲間が支え合うインスピレーションになることを望んでいる。チームを組むことは「完全になるもう一つの方法なんです」。

 映像は2020年11月に取材したもの。(c)AFP/Maher Al-Mounes