【12月15日 AFP】太平洋の小国、パラオの海上保安当局(DMLE)は14日、違法操業をしていた中国漁船を拿捕(だほ)し、乗組員28人を拘束したと明らかにした。パラオは台湾と外交関係があり、外交問題に発展する可能性がある。

 DMLEによると、漁船はパラオ海域内のヘレン環礁(Helen Reef)で操業中に同国の巡視船により拿捕され、主島のコロール(Koror)に誘導された。

 DMLEのビクター・レメンゲサウ(Victor Remengesau)局長は、船から推定225キロのナマコを発見したと述べている。乗組員らは中国南部・海南(Hainan)省から来たと思われる。

 また、中国人乗組員と巡視船の乗組員19人は、新型コロナウイルス対策としてパラオ国内で14日間の隔離措置が取られているという。パラオは世界でも数少ない、新型コロナの感染が確認されていない国の一つ。

 パラオのトミー・レメンゲサウ(Tommy Remengesau)大統領の兄弟である同氏は、中国人乗組員らを訴追するかどうかは決まっていないと話した。

 パラオは長年、海洋保全の先駆者的存在とされており、パラオ海域内での外国商業漁船の操業を禁止している。

 台湾と外交関係のある国は世界で15か国、太平洋地域では4か国しかなく、人口約1万8000人のパラオはその一つとなっている。台湾を自国の領土とみなす中国は以前から、パラオが台湾と外交関係があることに不快感を示している他、2018年には非公式にパラオ観光のボイコットを呼びかけた。(c)AFP