【12月15日 AFP】米国の次期大統領夫人となるジル・バイデン(Jill Biden)氏が「ドクター(博士)」の肩書を使っていることを批判した米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のオピニオン記事に対し、前大統領夫人のミシェル・オバマ(Michelle Obama)氏ら各方面から怒りの声が上がっている。

 ジル氏は2007年、医学ではなく教育分野の博士号を取得している。12日に発行された同紙の記事は、コラムニストのジョセフ・エプスタイン(Joseph Epstein)氏が書いたもので、夫の大統領就任後も教職を続ける意向を示しているジル氏を攻撃したことで非難を浴びている。

 その中でエプスタイン氏は、上から目線でジル氏を「君」と呼び、ジル氏がドクターの肩書を使うことは「詐欺的」で「コミカルでさえある」と記した。

 この攻撃は激しい議論を巻き起こし、14日にはミシェル氏も、夫の政権で副大統領を務めたジョー・バイデン(Joe Biden)次期大統領の配偶者であるジル氏を擁護する側に加わった。

 ミシェル氏はインスタグラム(Instagram)の投稿で、「8年の間、私はジル・バイデン博士が多くのプロフェッショナルな女性と同じように一度に複数の責任をうまく果たすのを見てきた。教育者としての職務からホワイトハウス(White House)での公務、そして母親、妻、友人としての役割に至るまでだ」と書いた。

 続けて、「そして今まさに、肩書がドクターかミズかミセスか、あるいはファーストレディーであるかにかかわらず、非常に多くのプロフェッショナルな女性に降りかかることを私たちは目にしている。あまりにも頻繁に、私たちの業績は疑いの目を向けられ、嘲笑されることさえある」と記した。「何十年も仕事をしてきてもなお、私たちはもう一度、自分の実力を証明しなければならない」

 ジル氏自身は13日、ツイッター(Twitter)で間接的に反応し、「みんなで一緒に、私たちの娘の業績が侮辱されるのではなく、たたえられる世界をつくろう」と投稿した。

 また次期副大統領カマラ・ハリス(Kamala Harris)氏の夫で、米国初の「セカンドハズバンド」となるダグ・エムホフ(Doug Emhoff)氏は、「この記事は男性については書かれなかっただろう」と指摘した。

 さらに元ファーストレディーであり、元国務長官でもあるヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏は、「彼女の名前はジル・バイデン博士だ。それに慣れなさい」とだけツイートした。(c)AFP