【12月15日 AFP】韓国の国会は14日、北朝鮮を批判するビラを北朝鮮側へ散布することを禁じる法案を可決した。人権団体は言論の自由の侵害であり、北朝鮮政権を喜ばせるための「誤った戦略」だと批判している。

 韓国の国会は、北朝鮮を批判するビラや情報とエンターテインメントを拡散する媒体として好まれるUSBメモリー、あるいは紙幣の北朝鮮への散布を違法とする法案を、出席した議員187人の全会一致で可決した。

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領は北朝鮮との良好な関係を以前から支持しており、300議席の韓国国会は文氏の政権与党「共に民主党」が過半数を占めている。保守系野党「国民の力」の全議員は投票をボイコットした。

 同法によると、北朝鮮を批判するビラを散布して有罪判決を受けた場合、最大で懲役3年もしくは3000万ウォン(約285万円)の罰金を科される。

 ニューヨークに拠点を置く国際人権団体、ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)は韓国国会に対し、法案は表現の自由を侵害し、人道的な行いを「犯罪行為」にしてしまうとして否決を呼びかけていた。

 ヒューマン・ライツ・ウオッチの、ジョン・シフトン(John Sifton)アジア・アドボカシー・ディレクターは、韓国政府は「北朝鮮の隣人に代わり、韓国国民に基本的人権を行使させるより、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長を喜ばせることにより注力しているようだ」とする声明を発表した。(c)AFP