【12月27日 AFPBB News】会社法違反などの罪で起訴された日産自動車(Nissan Motor)前会長、カルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)被告が、保釈中に日本を出国し、レバノンに逃亡してから30日で1年を迎える。レバノン当局は国際刑事警察機構(インターポール、ICPO)から、国際手配書の一つで同被告の身柄拘束を求める「赤手配書(Red Notice)」を受領しているが、レバノンと日本は犯罪者引き渡し条約を結んでおらず、送還要請に応じていない。

 日本で2018年11月に金融商品取引法違反容疑で逮捕され、以降130日間を拘束下で過ごしたゴーン被告は、昨年12月の保釈中に密出国するという逃亡劇を演じた。今年1月に逃亡後初めて公の場に姿を見せ、自分は日産自動車と日本政府高官による策略の犠牲者だと主張した。

 ゴーン被告が日本から出国した際の正確な状況は、今も謎に包まれているが、これまでの報道によると、同被告は関西空港(Kansai Airport)からプライベートジェットでトルコのイスタンブールに向かい、そこから空路でベイルートに入ったと考えられている。日本の税関、出入国審査をどのように通過したのかは明らかになっていない。

 ハリウッド映画になってもおかしくない逃亡劇を受け、フランスの映像制作会社アレフワン(Alef One)とサウジアラビアのMBCテレビは10月、ゴーン被告を主人公にしたドキュメンタリーと連続番組の制作を発表した。

 制作会社によると、ドキュメンタリーと全6回の連続番組は「自動車業界で最も有力な経営者の一人という地位から、日本にとって最重要の指名手配中逃亡者となり、レバノンで暮らす今に至る」ゴーン被告の変転を、「ゴーン夫妻の独占的な協力を得て」描くとしている。撮影は9月に始まっており、制作にはゴーン被告夫妻が協力するという。

 ゴーン被告は9月、逃亡先のレバノンにある大学で開かれた経営学の新たな講義に関するイベントに出席し、久々に公の場に姿を見せている。ただ自身への起訴内容や、日産の元代表取締役グレッグ・ケリー(Greg Kelly)被告に関する質問への回答は拒否しており、ケリー被告も同月に開かれた東京地裁での初公判で起訴内容を否認している。

 一方、ゴーン被告が公正な裁判を受けることができず、不当だと訴えていた日本での勾留について、国連人権理事会(UN Human Rights Council)の「恣意(しい)的拘禁に関する作業部会(Working Group on Arbitrary Detention)」は11月、同被告の日本での複数回にわたる逮捕・勾留を「恣意的」とする意見書をまとめ、日本政府に賠償を求めた。(c)AFPBB News