【12月14日 AFP】イランで12日、反政府デモに関与した罪などに問われていた反体制派ルホラー・ザム(Ruhollah Zam)氏の死刑が執行された。同日、欧州連合(EU)がこれを非難する声明を発表したことを受け、イラン外務省は13日、自国政府に対する「容認できない干渉」だとして独・仏駐イラン大使を呼び、EUの非難に抗議するよう要求した。イラン国営メディアが伝えた。

 ザム氏は2017年から18年の冬にかけて起きた反政府デモに関与した罪などで今年6月、死刑判決を受けた。イラン最高裁が判決を支持したことを受け、ザム氏は12日に処刑された。

 EUは同日、同氏の死刑執行について「最も強い口調で」非難するとの声明を発表。「極刑の適用に断固として反対」する姿勢を改めて強調した。

 国営イラン通信(IRNA)によるとイラン外務省の欧州担当はこれを受け、駐イランのドイツ大使ハンス・ウド・ムッツェル(Hans-Udo Muzel)氏に対し、イラン政府によるEUの声明への非難を表明。イランは声明について「イランの内政に対する容認できない干渉」としたという。IRNAはさらに、イランに対し「暴力を広め、テロ行為を行う要素に対する寛容」が「一部の欧州諸国」によって示されたとして、イランからの抗議も伝えたと報じている。ドイツは現在、EU各加盟国が輪番制で担う議長国を務める。

 またIRNAの13日の報道によると、「ザムの死刑執行に関するフランス外務省の介入声明」を受け、イランが駐イランのフランス大使、フィリップ・ティボー(Philippe Thiebaud)氏を首都テヘランに呼んだ。フランス外務省はザム氏の死刑執行について、「容認できない野蛮な行為」とし、「表現の自由と報道の自由に対する深刻な攻撃」と述べていた。ザム氏はフランスで政治亡命を認められ、昨年イランの革命防衛隊(Revolutionary Guards)により逮捕されるまで仏パリに住んでいたと報じられている。イラン革命防衛隊はザム氏が「フランスの諜報(ちょうほう)機関の指示」を受けていたと主張していた。 

 ザム氏はイラン法上最も重い罪の一つ、「地上での腐敗行為」の罪に問われていた。(c)AFP