【12月13日 AFP】旧ソ連構成国トルクメニスタンで独裁体制を敷いているグルバングルイ・ベルドイムハメドフ(Gurbanguly Berdymukhamedov)大統領は、日本の安倍晋三(Shinzo Abe)前首相に国のメダルを授与した。国営通信社が12日伝えた。
 
 メダルはトルクメニスタンが「永世中立国」となってから25年を記念し、安倍氏ら20人余りの外国要人に贈られた。その他の授与対象者には、国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長と潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)前事務総長、ロシアのアレクサンドル・ブロヒン(Alexander Blokhin)駐トルクメニスタン大使がいる。中国人は含まれていない。

 日本の銀行や企業は安倍政権下で対トルクメニスタン投資を強化し始め、投資案件の大半は同国の豊富な天然ガス埋蔵量を活用するプロジェクトだった。専門家はこの流れを、旧ソ連に属していた中央アジアで日本が中国をけん制する動きと見ていた。

 中央アジアではここ10年間に中国の影響力が増した。中国は2009年に完工した中央アジア・中国パイプライン(Central Asia-China Gas Pipeline)を通じてトルクメニスタン産天然ガスを年間300億立方メートル輸入し、ロシアに代わって域内産ガスの最大調達国となった。トルクメニスタンの天然ガス埋蔵量は世界第4位だが、輸出ルートの多角化で苦戦を強いられ、対中輸出に大きく依存している。

 安倍氏は2015年に日本の首相として初めてトルクメニスタンを訪問し、総額180億ドル(現在の為替レートで約1兆9000億円)超の経済協力でベルドイムハメドフ大統領と合意した。その後日本の銀行による融資で完了したプロジェクトには、天然ガスの液化プラント(17億ドル、同約1800億円)や石油化学プラント(34億ドル、同約3600億円)がある。(c)AFP