【12月12日 AFP】暗号解読マニアのチームが11日、50年以上前に米連続殺人犯「ゾディアック・キラー(Zodiac Killer)」から送られた暗号メッセージの一つを解読することに成功したと発表した。1960年代後半に米カリフォルニア州北部を恐怖に陥れたゾディアック・キラーの身元は、今なお特定されていない。

「340暗号文」と称されるこのメッセージは、1969年11月にゾディアック・キラーが米紙サンフランシスコ・クロニクル(San Francisco Chronicle)に送ってきたとみられるもので、340の暗号や記号が17行にわたって並べられている。ゾディアック・キラーは、1968年と69年に少なくとも5人を殺害。だが計37人を殺害したと主張しており、他の連続殺人犯らに影響を与えた。

 米ウェブデザイナーのデービッド・オランチャク(David Oranchak)氏(46)は、2006年にゾディアック・キラーが送ってきたとされる複雑な暗号の解読を開始。さまざまなコンピュータープログラムを駆使し、解読作業に取り組んできた。

 オランチャク氏はサンフランシスコ・クロニクル紙に対し、解読に当たってオーストラリアの数学者、サム・ブレイク(Sam Blake)氏と、ベルギーの記号論理学者、イアール・バンアイケ(Jarl Van Eykcke)氏の協力を得たと語っている。事件の捜査を担当する連邦捜査局(FBI)は同紙に対し、この解読を認めている。

 暗号を解読したとされる3人によると、メッセージには自慢話や当局への反抗的な言葉が含まれていたが、犯行動機や犯人の身元を示す手掛かりはなく、「あなたたちが私を捕まえるのを大いに楽しんでくれていることを願っている」とあり、「ガス室送りを恐れてはいない。すぐにでもパラダイス(原文のつづりはparadice)に連れて行ってくれるから。今なら私のために働いてくれる奴隷の数も足りている」と書かれていた。

 カリフォルニア州の新聞各社に送られたゾディアック・キラーの最初のメッセージは、1969年に学校教師とその妻が解読。「殺すのが好きだ。ものすごく楽しいからだ」と書かれたこのメッセージも「奴隷」について言及し、来世で自身に仕える奴隷を集めているという内容だった。だが、そのメッセージに使われていた暗号は、今回解読された「340暗号文」よりもはるかに簡単だった。

 オランチャク氏が自身のユーチューブ(YouTube)チャンネルで公開した動画によると、この暗号文は、左上の角から、下に1列、右に2文字進みながら対角線沿いに読む。一番下の列に達したら、対角の左上に戻って同じように読み進める。

 オランチャク氏は、この暗号システムは1950年代に米軍が使用していた暗号化マニュアルによく登場するものだと説明している。(c)AFP