【12月12日 AFP】韓国の著名な映画監督、キム・ギドク(Kim Ki-Duk)さんが11日、新型コロナウイルス感染症のため訪問先のラトビアで死去した。ラトビア国立映画センター(National Film Centre of Latvia)の所長が明らかにした。キムさんは、過激な暴力を描写した作品で世界的に評価された一方、性的暴行を受けたとして作品に出演した複数の女優から告発されていた。

 ラトビア国立映画センターのディタ・リエトゥマ(Dita Rietuma)所長はAFPに対し、「残念ながら、キム・ギドク氏がラトビアで新型コロナウイルスに感染して死亡したという悲しいニュースは事実だ」と明らかにした。

 リエトゥマ氏が関係者の話として語ったところによると、キムさんは首都リガの病院で11日午前1時30分(日本時間同日午前8時30分)ごろに死亡した。9日後の12月20日が60歳の誕生日だった。

 リエトゥマ氏によると、キムさんはプライベートでラトビアを訪問しており、撮影は予定していなかった。現地のメディアは、キムさんが同国で不動産を購入し、居住申請する計画を立てていたと報じている。

 エストニアを拠点に活動しているプロデューサーのアルトゥル・べーベル(Artur Veeber)氏によると、2人で新たなプロジェクトに取り掛かっており、キムさんは誕生日を祝う回顧上映会に合わせて12月中旬にエストニアを訪問する予定だったという。

 キムさんは、過激な暴力と人間の残酷さを大胆に描写した寓話(ぐうわ)的な作品で世界的な名声を得て、欧州の映画祭でも数々の賞を獲得したが、複数の女優から性的暴行を受けたとして告発されていた。(c)AFP/Imants Liepins and Anna Smolchenko in Moscow