【12月12日 AFP】スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さん(17)は、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」の合意から5周年を迎える12日を前にビデオメッセージを発表し、世界の指導者らの「空虚な言葉」を批判した。

 トゥンベリさんはソーシャルメディアに投稿した動画で、世界の気温上昇を2度に抑えるとの目標を掲げたパリ協定が2015年に採択されて以来、「多くのことが起こったが、必要な行動はいまだに、どこにも見当たらない」と指摘。「私たちはまだ間違った方向に高速で向かっている」とし、世界の政策決定者らが「空虚な言葉や巧妙な会計操作で新たな抜け穴を作り出して」時間を浪費していると批判した。

 パリ協定では各国政府に対し、世界の気温上昇幅を産業革命以前と比べて最高2度、可能であれば1.5度に抑えるよう求めている。

 だが国連環境計画(UNEP)が9日に発表した年次報告書では、今年は新型コロナウイルスの流行により温室効果ガス排出量が7%減少したものの、世界の平均気温は2100年までに3度上昇する見通しとされた。報告書は、化石燃料への依存からの脱却を大規模かつ迅速に進められなければ、今年の排出量削減が温暖化にもたらす影響はほぼないとしている。

 欧州連合(EU)加盟27か国は11日、2030年の温室効果ガス排出量目標を現状の1990年比40%減から少なくとも55%減に引き上げることで合意した。(c)AFP