【12月14日 AFP】アルバニアの村の小さな農場で干し草をむしゃむしゃ食べるロバたちの元に、健康を気にする人々が続々と詰め掛けている。お目当ては、ロバのミルクだ。高価だが、ビタミンを豊富に含んでいて免疫力を高めるとして、新型コロナウイルス流行下で飛ぶように売れている。

 首都ティラナ南方のパパル(Paper)村にあるこの農場を営むエルトン・キキア(Elton Kikia)さん(37)は、感染者が増加するにつれて「ロバのミルクの需要はぐんぐん高まっている」と語った。

 これは、ロバたちにとっても良いニュースといえる。山がちなアルバニアで重い荷物を運んだり荷馬車を引いたりする従来の役目から解放され、快適な農場暮らしを送れるからだ。

 ロバのミルクの価格は、1リットル当たり50ユーロ(約6300円)。平均月収が400ユーロ(約5万円)そこそこのアルバニアではとんでもない高額商品だ。それでも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への恐れから関心はうなぎ上りだ。

 ロバのミルクにCOVID-19の治療効果があると主張する人はいない。ただ、人間の母乳に近い栄養素を含んでいることから、体にもともと備わっている免疫機能を高めると信じられている。

 先日パパル村を訪れて250ミリリットル瓶2本のロバのミルクを購入した農業環境工学専攻の女子学生は、新型コロナに感染した両親の体調回復を助けるためだとAFPに説明。「服用中の薬に加えてロバのミルクを飲めば、呼吸器系への良い自然療法になると思って」と語った。(c)AFP/Briseida MEMA