■性的虐待をライブ配信

 フィリピンでは、厳格な感染予防対策の影響で大人たちが仕事や収入を失い、自宅にとどまる時間が増えているが、性被害を受けている子どもたちの多くは、まず親から標的にされている。親たちが、わが子への性暴力を撮影した動画を欧米の富裕国に住む性犯罪者向けにライブ配信しているのだ。

 子どもたちへの性的虐待についてタネイゴ氏は、「世界中の性犯罪者が快適な自宅を離れることもなく、注文を付け、料金を支払い、ライブ配信で消費している」と指摘した。

 同氏によれば、子どもたちが救出されるまでに虐待を受け続ける期間は平均2年。しかし、心の傷は長く残る。

 フィリピンと並びインドネシアでも、児童の性的虐待がはびこっている。子どもへの搾取撲滅に取り組む国際的NGO「エクパット(ECPAT)」によると、調査対象となった子どもの約20%がオンラインで性被害を受けたことがあると報告している。

 西ジャワ(West Java)州警察は先日、人気メッセージアプリLINE(ライン)上で複数の未成年者を含む「ライブ配信ストリップショー」を開催していたあるグループを摘発した。その中には、言いくるめられてストリップショーに参加していた14歳の少女もいた。その間、両親は娘が自室でオンラインで宿題をしていると思い込んでいた。

 オーストラリアの元警察官で、人身売買防止に取り組む組織「プロジェクト・カルマ(Project Karma)」のグレン・ハリー(Glen Hulley)氏によると、小児性愛者がオンラインゲームサイトのプラットフォームを利用して親の目を欺いている場合もある。

 ハリー氏は、「ロックダウン中に私たちが突き止めたケースの大半で、性犯罪者は児童向けの人気アプリを利用して子どもたちに接触を試みている。チャット機能付きのオンラインゲームサイトのプラットフォームなどだ」と語った。

 活動家らの報告によると、性犯罪者は同年代の子どもや著名ユーチューバー、歌手のジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)さんのような有名人に成り済ましていることもある。