【12月13日 Xinhua News】中国の湖北省(Hubei)文物考古研究所は7日、同省にある屈家嶺(くつかれい)遺跡の考古学調査で段階的な成果があり、約5600~5300年前の炭化したアワ33点が出土したと明らかにした。植物考古学関係者によると、長江中流域で見つかった最古のアワの炭化物であり、北方の乾地農業が同流域に伝わったことを示す最古の証拠だという。

 同遺跡では2015年以降、遺跡公園の建設に合わせ、合同考古学調査隊が新たな発掘調査を実施している。植物考古学関係者は今回の発掘期間、新石器時代の油子嶺文化から戦国時代末期にわたる同遺跡各時代の遺構と文化層から、土壌サンプル392袋を採集した。

 同研究所の副研究館員で植物考古学博士の姚凌(Yao Ling)氏は、植物考古学で一般的に用いられる浮選法で研究を進めたところ植物種子の炭化物が見つかり、鑑定の結果、うち33粒がアワであることが分かったと説明した。考古学者らは放射性炭素年代測定と定量統計分析に基づき、アワの炭化物の年代を約5600~5300年前とした。

 同研究所の羅運兵(Luo Yunbing)副所長によると、屈家嶺遺跡は長江中流域で最も早い時期に発見された最も代表的な新石器時代の大型集落遺跡で、屈家嶺文化の発見地、名称の由来となっている。浮選法により見つかった大量の農作物種子、多くの紅焼土(土を焼き固めた建築資材)の破片から見つかったイネモミとモミ殻の痕跡、出土した大量の酒器と土器杯などは、いずれも同地に安定した農業生産活動があったことを裏付けているという。

 現在の先秦時代の農業研究は、一般的に「五穀」をイネ、アワ、キビ、小麦、大豆としている。考古学者らは湖北省の江漢平原地域にある石家河遺跡や城河遺跡、紀南城遺跡などで実施した植物考古学研究に基づき、これらの地域では遅くとも東周時代(紀元前770年~紀元前256年)に「五穀」すべてが栽培されるようになったとみている。(c)Xinhua News/AFPBB News