【12月11日 AFP】歴史上初めて、地球上の人工物量が生物量を上回る「クロスオーバーポイント」に達したようだとする研究論文が9日、英科学誌「ネイチャー(Nature)」に掲載された。

 道路や建築物などの人工物の重量はほぼ20年ごとに倍増しており、論文の著者らによると、現在、1.1兆トンに達している。

 一方、人類の天然資源消費量は増え続け、樹木や植物、動物などの生物量は農業革命以来半減し、現在では1兆トンとなっている。

 研究では、産業と生態学の多くのデータから、1900年以降の地球上の生物量と人工物量の変化を推計。20世紀初頭には人工物量は生物量のわずか3%だったが、第2次世界大戦(World War II)後に世界的に製造業が急成長し、今では地球上の全人類の総体重に相当する人工物が毎週、生産されるに至った。

 論文は、2020年には人工物量が生物量を上回ったようだとしている。

■人類の自然界に対する並外れた影響力を示す研究

 推計によると、人工物の生産量は現在では年間約300億トンに上り、現在の伸び率が続けば、2040年までに人工物量は3兆トンに達するという。

 同時に、生物量は減少しつつあり、その主な要因は森林伐採や、集約農業を可能にするための土地利用変更だ。

 人工物のほとんどを占めているのは建築物や道路だ。1950年代半ばに起きたれんがからコンクリートへの建設資材の変化といった建設上の傾向が、重量加速に寄与した。

 論文の主執筆者で、イスラエル・ワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science)の植物・環境科学部のエミリー・エルハチャム(Emily Elhacham)氏はAFPに、研究は人類の自然界に対する並外れた影響力を示すものだと指摘している。

「われわれが自然界で果たしている中心的役割を否定することは、もはやできない」とエルハチャム氏は言う。「われわれは既に重要な役割を担っており、それには共同責任が伴うのだ」 (c)AFP/Patrick GALEY