【12月10日 AFP】オーストラリアの採掘大手リオ・ティント(Rio Tinto)が、鉄鋼採掘場の拡張のために先住民アボリジニの洞窟遺跡を破壊した問題をめぐり、同社を非難する豪議会の予備報告書が9日夜、公表された。これを受け、土地の伝統的所有者であるアボリジニは、採掘業界の抜本的改革を求めた。

 英豪系リオ・ティントは今年5月、鉱物資源が豊富なウエスタンオーストラリア(Western Australia)州の先住民であるプートゥ・クンティ・クラマとピニクラの人々(PKKP)の意思に反して、ピルバラ(Pilbara)地域のジューカン渓谷(Juukan Gorge)にある、古代アボリジニが暮らしていた岩屋を壊し、激しい非難を浴びた。

 豪議会の調査委員会による予備報告はリオ・ティントに対し、地元の先住民に対する補償、遺跡の修復、同地区での採掘の永久的停止を勧告している。

 さらに、同州で操業しているすべての採掘業者は、土地の伝統的所有者である先住民との合意を見直し、法による保護が強化されるまで計画中の遺跡がある地の破壊を中止するよう勧めている。

 PKKPアボリジニ・コーポレーション(PKKP Aboriginal Corporation)の広報担当者バーチェル・ヘイズ(Burchell Hayes)氏は、調査委員会の提言を歓迎すると述べた。

「調査委員会の予備報告により、特に伝統的所有者と採掘業者との関係について、業界全体の抜本的改革が促されることを期待している。また、これまで以上の尊敬の念と相互利益によってはぐくまれる、より対等なパートナーシップの構築へとつながる道が開かれることを願っている」

 一方リオ・ティントは、文化的に重要な遺跡の破壊は「二度としない」としている。同社は、先住民団体との既存の合意を近代化する作業を続けている他、ジューカン渓谷周辺の回復作業と遺跡の遺物を保管するための施設の建設を進めているという。

 同社は近日中に、調査委員会の勧告を検討するという。

 同社のサイモン・トンプソン(Simon Thompson)会長は「ジューカンの岩屋の破壊が、プートゥ・クンティ・クラマとピニクラの人々に多大な苦痛を与えたことを認識しており、彼らの協力の下、修復のための努力を続けている」と述べた。

 破壊された岩屋は、豪国内で最古級のアボリジニの遺物が複数発見された場所で、先住民にとって神聖な場所となっていた。(c)AFP