【12月10日 Xinhua News】中国チベット自治区(Tibet Autonomous Region)ガリ地区でこのほど、桑達隆果(サンダルンガ)墓地から出土した大量の遺物中に、青海チベット高原で初めての発見となる木製の俑が含まれていたことが明らかになった。この墓地での考古学的発見は、チベット西部の文明早期の社会構造、生活様式およびチベットとヒマラヤ山脈南麓、新疆、中原などとの交流の研究に新たな資料をもたらした。

 チベット自治区文物保護研究所の何偉(He Wei)副研究員は次のように述べた。サンダルンガ墓地はガリ地区のツァンダ(札達)県に位置しており、「サンダルンガ」とはチベット語で「サンダ溝の口」を意味している。同墓地では墓が密集して分布しており、陶器、銅器、釦器(口縁を金属で装飾した器)、石器、織物、料珠(半透明の宝珠)、木棺などが出土している。中でも、出土した木製の俑は青海チベット高原で初めて見つかったもので、その形状的な特徴は新疆のトルファン一帯にある墓から出土したものと同じだった。

 墓地は2017年12月、同県で行われたインフラ整備工事の期間に見つかった。その後、同墓地の考古学発掘調査は国家文物局によって「考古中国」プロジェクトに組み込まれ、重点文化財保護特別資金の援助を受けた。チベット自治区文物保護研究所とツァンダ県文物局による2017年から今年までの考古学発掘調査によって、一定の重要な成果を収めた。

 同墓地の3基の墓からは7個(6件)の金・銀製の面飾(昔の人が顔に付けた飾り物)が出土。面飾の形式は同墓地の近くにある曲踏墓地、古如甲墓地およびインド北西部とネパール北部の墓地から出土した金・銀製の面飾と同じか非常に近いものだった。このほかに、出土した青銅の無足匜(い、水差し)は四川(Sichuan)・湖北(Hubei)一帯のものと形状がよく似ていた。出土した単耳鴨嘴流寰底壺(こ、盛酒・盛水器)は、チベット中部のラサ曲貢遺跡の陶器と似た形状をしているという。

 何氏は次のように指摘した。この地域では紀元前約300年ごろから大規模な集住が始まり、その期間に政治実体の萌芽がみられ、生産と生活が大きく発展した。周辺の新疆、ネパール北部、インド北部、チベット・ラサ、山南地方の奥地ならびに漢人居住地の文化がここで融合した。紀元600年以降、サンダルンガ墓地は使用されなくなったため、この場所での人の活動が終了したと思われる。(c)Xinhua News/AFPBB News