【12月10日 CGTN Japanese】高齢化の進行と出生率の低下に悩まされている中国。その人口ボーナスの現状はどうなっているのか、このほど発表された「2020中国統計年鑑」の取りまとめで分かりました。

 通常、人口は0~14歳、15~64歳、65歳以上という3つの年齢層で統計し分析されます。そのうち、15~64歳の年齢層は「生産年齢人口」とされており、それが総人口に占める割合は経済の発展レベルや人口流動の方向性を反映し、人口ボーナスをはかる重要な指標と見なされています。

「2020中国統計年鑑」のデータによりますと、現在、中国の31の省・直轄市・自治区で生産年齢人口(15~64歳)が総人口に占める割合が大きいのは上から順に北京、天津(Tianjin)、内モンゴル(Inner Mongolia)、黒竜江(Heilongjiang)、広東(Guangdong)、吉林(Jilin)、遼寧(Liaoning)、上海、山西(Shanxi)、陝西(Shaanxi)で、うち北京と天津はそれぞれ78.12%と77.6%で第1位と第2位に輝いています。これは首都圏の二大直轄市は地方の青壮年にとって、強い魅力を持っていることを物語っています。

 首都北京を例にとると、2019年北京市統計公報は、2019年末の北京市の居住人口が前年比約6000人減の2153万6000人となったことを示しています。そのうち、地方からの外来人口は745万6000人で、居住人口に占める割合は三分の一を超え、34.6%に達したということです。

 一方、2019年、中国では「高齢社会」(高齢化の進行程度を示す言葉として、65歳以上の人口が総人口に占める割合・高齢化率が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と呼ばれている)に突入した省・直轄市・自治区は7つに達し、長江デルタ地帯の江蘇省(Jiangsu)、浙江省(Zhejiang)、上海市はそろって高齢社会に入りました。それにもかかわらず、長江デルタ地帯の強い経済力は大勢の若い労働力を引き付け、上海、浙江、江蘇の生産年齢人口が総人口に占める割合はそれぞれ73.7%、72.91%、71.13%と、いずれも全国平均レベルを上回っています。

 さらに、近年、養老金不足に直面している東北地区ですが、生産年齢人口は少なくありません。黒竜江(76.25%)、吉林(74.94%)、遼寧(73.88%)の生産年齢人口が総人口に占める割合の全国ランキングは第4位、第6位、第7位でした。しかし、東北三省の出生率と自然増減率は全国のワースト3位で、自然増減率は東北三省だけが全国でマイナスとなりました。2019年、東北三省の人口は約42万7300人減少したということです。

 また、データによりますと、生産年齢人口が総人口に占める割合が最も低い10の地区は、貴州(Guizhou)、山東、湖南(Hunan)、河南(Henan)、安徽(Anhui)、新疆(Xinjiang)、四川(Sichuan)、重慶、チベット、広西(Guangxi)でした。山東省以外、主に中・西部地区に集中していますが、同地区の一部の省は大きな人口を抱え、労働力資源に恵まれているものの、青壮年労働力の流出が深刻で、現地の人口ボーナスの低下を招いたとみられています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News