【12月10日 AFP】(更新)米連邦政府と各州の反トラスト法(独占禁止法)執行当局は9日、優越的地位を乱用してメッセージサービスのインスタグラム(Instagram)やワッツアップ(WhatsApp)を買収したとして、米インターネット交流サイト(SNS)大手フェイスブック(Facebook)を提訴した。

 米連邦取引委員会(FTC)と各州当局の連合は、それぞれ個別に起こした訴訟で、数十億人のユーザーを抱えるインスタグラムとワッツアップの売却を要求。

 FTC競争局のイアン・コナー(Ian Conner)局長は「独占を強化・維持しようとするフェイスブックの行為は、消費者に対し競争の利益を拒むものだ」と指摘し、「われわれの目的は、フェイスブックの反競争的な慣行を後退させ、競争を回復させて、イノベーションと自由競争を促進することだ」と述べた。

 もう1件の訴訟は、全米48州・地域の反トラスト法執行当局の連合が起こしたもの。連合を率いるニューヨーク州のレティシア・ジェームズ(Letitia James)司法長官は「フェイスブックは10年近くにわたり、その優越性と独占力を用いてより小規模な競合を押しつぶし、競争を抹殺してきた。その犠牲を強いられたのは一般ユーザーだ」と指摘した。

 FTCは今年、アマゾン・ドットコム(Amazon.com)とアップル(Apple)、フェイスブック、マイクロソフト(Microsoft)、グーグル(Google)の親会社アルファベット(Alphabet)のIT大手5社が過去10年間に実施した企業買収について調査すると発表。反トラスト法違反の疑いをめぐる多数の捜査につながる可能性が出ていた。

 FTCと共に反トラスト法執行を担う米司法省は10月、ネット検索と広告で「違法な独占」を維持しているとしてアルファベットを提訴。これにより同社は事業分割を強いられる可能性がある。

 フェイスブックは、自社の行為を強く正当化し、優越的地位の乱用を否定。同社の法務顧問を務めるジェニファー・ニューステッド(Jennifer Newstead)氏は、「反トラスト法は、消費者を守り、イノベーションを促進するために存在するのであって、成功を収めた企業を処罰するためのものではない」と述べた。(c)AFP