【12月9日 AFP】シンガポール発着の「どこにも行かないクルーズ」が9日、乗客1人が新型コロナウイルス検査で陽性反応を示したことから中断された。関係者らが明らかにした。コロナ流行の大打撃を受けたクルーズ業界の再活性化を目指す取り組みだったが、またしてもコロナで頓挫した。

 旅行制限の影響でクルーズ船の運航は数か月間中止されていたが、先月ようやく、どこにも寄港しないクルーズ旅行が開始されていた。

 しかし9日朝になって、米客船大手ロイヤル・カリビアン・インターナショナル(Royal Caribbean International)が運航するクァンタム・オブ・ザ・シーズ(Quantum of the Seas)号の乗客(83)が、新型ウイルス検査で陽性反応を示したと発表された。

 日刊紙ストレーツ・タイムズ(The Straits Times)によると、同船は4日間の旅の3日目でシンガポールに引き返すことになった。当時船には乗客1680人と乗組員1148人が乗っていたという。

 シンガポール政府観光局(STB)は、接触者追跡が完了するまで乗客乗員は船内にとどまり、停泊中の港から出られるのは検査を必ず受けてからになると発表した。

 同国では数か月間休暇での旅行が制限されていたため、この「どこにも行かないクルーズ」が人気になっていた。

 しかし今年初めに複数のクルーズ船で新型ウイルスの感染が広まったことから、クルーズ船における集団感染の恐れが警告されていた。(c)AFP