【12月8日 AFP】スリランカは8日、戦略上重要な水深の深い港のそばに、中国が約300億円を出資してタイヤ工場が建設されると発表した。中国がスリランカの製造業に大規模な投資をするのはこれが初めて。

 欧米諸国や近隣の大国インドはかねて、中国が推し進める経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」に基づくインフラ事業などを通して、中国がスリランカ国内で影響力を強めることを懸念している。

 工場はハンバントタ(Hambantota)港付近に開設される。同港は、建設費として中国から借り入れた約1500億円を返済できなかったため、2017年に中国企業にリースされた。

 この数週間前にもマヒンダ・ラジャパクサ(Mahinda Rajapaksa)首相が、主要都市コロンボ(Colombo)での中国の大規模不動産開発を当て込んだ2021年の予算を発表したばかり。より多くの投資を誘致し、経済を活性化するためと説明している。

 ラジャパクサ氏が大統領を務めていた2005〜15年に、政府は多数のインフラ事業のため、中国から巨額を借り入れた。これらのインフラ事業の多くが無用の長物で、中国の債務のわなにかかったとの批判があるが、同氏とその実弟のゴタバヤ・ラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)現大統領は、これを否定している。

 格付け各社はスリランカの債務履行能力の評価を下げており、同国は来年も中国からの借入金を増やすとみられている。(c)AFP