【12月7日 AFP】干ばつで荒廃したマダガスカル南部では、人々が飢えをしのぐため、白土にタマリンドの実を混ぜたものを食べて腹を満たしている。

「私たちは、これを『生き延びるための土』と呼んでいる」と、南部の港町トラニャロ(仏語名:フォールドーファン、Fort-Dauphin)から西に約100キロ離れた村、フェノエボ(Fenoaivo)に暮らす農家の男性(35)は語った。「タマリンドの酸味が口の中に染みわたり、空腹感をごまかしてくれるからだ」

 この男性には6人の子がいるが、「最近はもう食べ物を探すのはやめて、もっぱら空っぽの胃を満たす方法を探している」という。

 乾燥したこの辺り一帯の主食は、サボテンの実だ。サボテンは村々を囲むように生え、村の内外を隔てる柵の役割と、食料庫の役目を果たしている。

 しかし、この地域では1年以上雨が降っておらず、サボテンすら実を結ばなくなった。どのサボテンも表皮がしおれており、その異様な光景は住民を取り巻く状況の過酷さを物語っている。

 フィノエボ村から約10キロ離れた別の村では9月、子ども8人と母親1人が餓死した。

 白土とタマリンドの混合物は特に子どもたちにとっては消化しづらく、「腹部膨満の原因になっている」と、世界食糧計画(WFP)の地域主任テオドール・ムベネッセム(Theodore Mbainaissem)氏は指摘する。

 WFPによれば、マダガスカル南部では人口の半数に上る150万人が現在、緊急食糧支援を必要としている。飢餓状態にある人々を救うためには、さらに約3100万ユーロ(約40億円)の資金援助も緊急に必要だ。

 この地域では干ばつは珍しくないが、気候変動の影響で日照りがひどくなり、2~3年間ずっと雨が降っていない地域もある。不安感が広がり、家畜の盗難が横行するようになって、貧困状態は深刻化。人道支援活動がより難しくなっている。

「今や、タマリンドさえも不足しつつある」とムベネッセム氏は警告した。

 映像は11月14日撮影。(c)AFP/Tsiresena MANJAKAHERY