■アルバムが発禁処分を受けたモスクワをはじめ、世界中で追悼

 当時、大統領選に勝利したばかりで、後に自らも暗殺未遂事件に巻き込まれるロナルド・レーガン(Ronald Reagan)氏は「大きな悲劇」と呼んだ。レノンさんがオノさんと息子のショーン(Sean Lennon)さんと住んでいたアパートの前には数千人が追悼に集まった。

 オノさんは公の葬儀は執り行わないと発表。その代わりにアパートの窓の外で歌っていたファンらに、次の日曜日に近くのセントラルパーク(Central Park)の野外円形劇場に集まって夫をしのんでほしいと呼び掛けた。

 12月14日、ニューヨークの寒さをものともせず、約20万人が追悼のために集まり、市内の全てのラジオ局が10分間の黙とうを行った。全米では数万人が公園や広場、駐車場、劇場に集まった。世界各地で数百万人が同じようにレノンさんの死を悼んだ。

 ロシアのモスクワではビートルズのアルバムは発禁処分を受けていたが、闇市場には出回っており、市民による追悼は何日も続いた。レノンさんの写真を持って大学付近に集まった若者数百人が警察に解散させられる事態も起きた。

 英国も同じく追悼ムードに包まれ、レノンさんの故郷リバプールでの追悼コンサートでは、約2万人が「平和を我等に(Give Peace A Chance)」を歌って締めくくった。

 亡くなって数十年たっても、レノンさんのゆかりの品は競売に掛けられ続けている。

「イマジン(Imagine)」の作曲に使用したピアノは2000年に英ロンドンで245万ユーロ(現在の為替で約3億1000万円。以下同)で、所有していたギターの1本は2015年に米国で200万ドル(約2億1000万円)で落札された。

 他に貴重なゆかりの品として、レノンさんが愛用した丸いフレームのサングラスは2019年に13万7500ポンド(約1910万円)、髪の一房は2016年に米テキサス州で3万5000ドル(約360万円)で落札された。(c)AFP