【12月6日 AFP】仏パリ市内で5日、新たな治安対策法案に抗議する大規模なデモがあり、暴徒化した参加者が警察と衝突し、車に放火したり店の窓を破壊したりする騒ぎが起きた。週末のデモで騒乱が発生したのは2週連続。警官が黒人音楽プロデューサーのミシェル・ゼクレー(Michel Zecler)さんを暴行した先月の事件を受けて緊張が高まる中、毎週全国で行われる抗議デモはエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領にとって大きな頭痛の種になりつつある。

 報道の自由や人権の保護を訴える団体は、警官個人の特定につながる顔の撮影を禁止する治安対策法案が成立した場合、警官を権限乱用で起訴することが困難になりかねないとして、政府に廃案または改正を求める抗議活動を主導している。ゼクレーさんの暴行事件に関与した警官4人の予審が先月30日に始まった後、与党の共和国前進(REM)は問題視されている法案条文の「完全な書き直し」を約束した。

 内務省は、この日の全国の抗議デモ参加者が5万2350人で、前週(13万3000人)の半数未満だったと発表。パリでは前週のデモに4万6000人が参加したものの、この日は5000人前後だったと付け加えた。ジェラルド・ダルマナン(Gerald Darmanin)内相は、全国で64人が拘束され、警官8人が負傷したと述べた。

 計画された治安対策法案の抗議デモの数は、モンペリエ(Montpellier)やマルセイユ(Marseille)、ナント(Nantes)など全国で100近くに上った。

 デモでは2018年冬から2019年にかけてマクロン政権を揺るがした格差抗議運動「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」の活動家の姿も目立った。労働組合員と黄ベスト運動の活動家は今回のデモで一致団結しており、強硬派労働組合「フランス労働総同盟(CGT)」のフィリップ・マルティネス(Philippe Martinez)事務局長は、複数の大義が一体となりつつあると語った。(c)AFP/Nicolas KIENAST