【12月7日 Xinhua News】中国新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)バインゴリン・モンゴル自治州にあり、古代シルクロードの幻の都市とされる楼蘭(ろうらん)の遺跡「楼蘭古城」でこのほど、6月から進められていた建築遺構の緊急補強工事が完了した。

 工事は日干しれんが造りの3部屋からなる「三間房」と仏塔、これらを支える台地を対象に実施。世界文化遺産の保護プロジェクトで多数の実績がある中鉄西北科学研究院が工事を請け負い、同社の周鵬(Zhou Peng)氏率いる文化財保護スタッフ20人以上が近くに泊まり込んで進めていた。

 楼蘭遺跡は同州チャルクリク(若羌)県にあり、一帯では強風に見舞われる日が毎年少なくとも80日ある。県の文化財担当部門が昨年、遺跡の巡回調査で風食が進み深刻な状況にあることを確認。台地の下層部分は空洞を形成し、いつ崩壊してもおかしくない状態だった。

 周氏は工事について「遺跡周辺の台地の表層から採取した粘土で日干しれんがを作った。れんがは日陰の涼しい場所で14日間乾燥養生させてから、損傷部分の補修に使った」と語った。

 補強措置に加え、風速や湿度など気象要素を自動で収集するシステムを設置し、三間房と仏塔をレーザースキャンで3Dデータ化した。周氏は「何年かしてから遺跡を再びスキャンした時に今回のデータとの比較ができる。収集した気象データを組み合わせることで、気候環境と遺跡の風食との関係を研究することも可能だ。今後の楼蘭遺跡の保護に役立てば」と話している。(c)Xinhua News/AFPBB News