【12月5日 AFP】米グーグル(Google)の従業員ら1000人以上は4日、人工知能(AI)の倫理を専門とする黒人研究者を同社が解雇したことについて、理由の説明を求めた。

 ティムニット・ゲブル(Timnit Gebru)氏は今週ツイッター(Twitter)に、辞職願が受理されたとグーグル側から通告されたと投稿。自身は辞職の申し出をしていないと主張している。

 ゲブル氏はこれに先立ち、会社から論文の撤回を求められたとのメールを社内グループに送っていた。同氏は会社からの解雇通知だとするメッセージをツイートし、そこには「昨夜あなたがグループの非管理職に送ったメールのある部分は、グーグルのマネジャーに期待されていることと矛盾する振る舞いが反映されている」と書かれていた。

 ゲブル氏は多様性の提唱者として知られ、人工知能の分野に黒人の人材を増やすことを目指すグループの共同設立者でもある。

 ゲブル氏に解雇と論文取り下げを命じた理由について説明を求める公開質問状には、1000人を超えるグーグルの従業員を含む約2500人が名を連ねている。

 質問状は、ゲブル氏が「その並外れた才能と多大な貢献をグーグルから受け入れられず、守勢を強いられ、人種差別、心理的な追い込み、研究に対する検閲、そして今では報復的な解雇に直面している」と非難している。

 グーグルは、この件に関するコメントの要請に応じていない。

 ゲブル氏はエチオピア系米国人で、シリコンバレー(Silicon Valley)のスタンフォード大学(Stanford University)でエンジニアリングの学位と博士号を取得。アップル(Apple)やマイクロソフト(Microsoft)で研究を行った経歴を持ち、顔認識技術が間違いを起こす確率などについて調べていた。

 ゲブル氏への解雇通知の数日前、全米労働関係委員会(NLRB)はグーグルに対し、監視や調査といった方法で主義主張を持つ従業員にスパイ行為を働いていると指摘していた。(c)AFP