【12月4日 AFP】かつてドイツの植民地だったナミビアではドイツ系の名前を持つのは普通のことだが、このほど実施された地方選で当選した新人議員は、名前が「アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)」だったことから一夜にして有名人になった。

 アドルフ・ヒトラー・ウウノナ(Adolf Hitler Uunona)氏(54)は与党・南西アフリカ人民機構(SWAPO)の所属で、先週行われた地方選に北部の選挙区から出馬し、票の85%を獲得して当選した。

 ウウノナ氏は3日、AFPの取材に少々いら立った様子で、自身の名前が世界で最も悪名高い独裁者の一人にちなむことに関心を示す人がいる事実に驚いていると述べた。名前の由来については話したくないとしている。

「この話題を盛り上げるつもりはない。この場に腰を落ち着けて、私の名前のみをテーマに語り合う理由がない」

 AFP記者が接触した際、ウウノナ氏は「あなたは本当に、私の名前についてだけ話を聞きたいのか? それがどうナミビアをより良い国にするというのか、どうわれわれの国の発展に寄与するというのか?」と問いただした。

 ドイツは1884年、当時「南西アフリカ」と呼ばれていたナミビアを植民地化。ドイツ人入植者らは1904~08年に先住民ヘレロ(Herero)人やナマ人(Nama)数万人を殺害し、歴史学者はこれを20世期初のジェノサイド(大量虐殺)とみなしている。(c)AFP