【12月4日 AFP】フランスのジェラルド・ダルマナン(Gerald Darmanin)内相は、イスラム過激派の取り締まりの一環として、過激な教えを説いている疑いのあるモスク(イスラム礼拝所)76か所の調査を3日から開始すると明らかにした。

 ダルマナン氏は民放ラジオ局のラジオ・テレビ・ルクセンブルク(RTL)に対し、過激主義を助長していることが判明した場合、そのモスクは閉鎖されると述べた。

 フランスでは、10月16日にイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺画を学校の授業で見せた教師が斬首されて死亡し、同29日にはニース(Nice)の教会で刃物による襲撃で3人が死亡する事件が発生した。今回の調査は、フランスに衝撃を与えたこの2つの事件に対する政府の対応の一環。

 ダルマナン氏は、どのモスクが調査対象になるかには言及しなかった。しかし、同氏が各地の治安責任者に送付した文書によると、イルドフランス(Ile-de-France)地域圏の16か所とその他の地域圏の60か所が対象になるという。

 ダルマナン氏は4日のツイッター(Twitter)への投稿で、調査の対象となっているモスクは「分離主義」の疑いがあると述べた。分離主義は、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領が、フランス社会から距離を置く超保守的なイスラム教徒を指す際に使う言葉。

 超保守的なイスラム教徒は、認可されていないイスラム教学校に子どもを通わせたり、若い女子にイスラム教のヘッドスカーフの着用を強制したりしている。

 右派のダルマナン氏はRTLに対し、過激な教えを説いていると疑われるのはフランス国内に約2600か所あるモスクのごく一部で、過激主義は決してまん延していないとした上で、「フランスのほぼすべてのイスラム教徒はこの国の法律を尊重しており、(過激化によって)傷つけられている」と述べた。(c)AFP