【12月3日 AFP】韓国で3日、大学入学共通テストに当たる「大学修学能力試験」が行われ、50万人弱が受験する。今年は、試験会場には厳格な新型コロナウイルス感染予防対策が敷かれた。

 子どもたちは丸1日かけて行われるこの試験に向け数年前から準備している。優秀な成績を収めエリート校へ入学することが、将来のキャリアや収入、さらには結婚にさえも影響するとされる。

 今年は新型ウイルスの流行もあり、生徒の負担は増している。授業が遅れたり、中断したりした他、一時は全国の学校がオンライン授業を強いられた。試験自体も2週間延期された。

 韓国は新型ウイルスの流行の抑え込みにおおむね成功しているが、ここ数週間で、100人前後だった1日当たりの新規感染者が500人以上に急増した。

 世界的に見れば極めて少ない数だが、当局はこの増加を重く受け止め、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)規制を強化している。

 大学修学能力試験では全国各地の試験会場に計50万人近い受験生が集まることから、当局は特に懸念している。

 会場の机には透明な仕切りが設置され、受験生は試験中に常時マスク着用を求められる。会場到着時には検温も行われ、体温が37.5度以上の場合、または新型ウイルス感染症と類似の症状がある生徒は、会場内の他の受験生から離れた場所で試験を受けなければならない。

 さらに受験生は休憩中も集まったり、話したりすることは控えるようにとされており、試験が行われる部屋は1科目が終わるごとに換気される。

 韓国では受験生の妨げになるものはすべて排除される。

 当日受験生が遅刻しないように、政府機関や事業所さらにはソウルの証券取引所も交通量を減らす目的で、就業時間を1時間遅らせる。また、遅刻しそうな生徒は警察が送り届けることもある。遅刻した場合、受験が認められないためだ。

 英語のリスニングテストの際には、35分間にわたり空港への離着陸が禁止されるだけではなく、既に飛行中の航空機は高度3000メートル以上を飛ばなければならないとされている。

 一方、新型ウイルスに現在感染している受験生35人については、完全防護服を着用した試験官の監督の下、他の受験生と同時刻に病院や隔離施設で試験が実施される。

 映像前半は大学修学能力試験に臨む受験生ら、3日撮影・一部提供。後半は事前に韓国の教育省が公開した新型ウイルスに感染している受験生用の試験室、2日提供。(c)AFP