【12月6日 AFP】アイスランドで2番目に大きい氷河の上を、雪靴でゆっくり歩くのではなく、最高時速60キロのスピードで、超大型バスが乗客を乗せて疾走する。この氷河は今世紀末までにほぼ消滅する可能性が高いと、科学者らは予測している。

 赤色の車体の超大型氷河観光バスは全長15メートルで、アイスランド西部にある広大なラングヨークトル(Langjokull)氷河の粉雪の上で粘着摩擦を得るために、巨大なタイヤが取り付けられている。

 約2500年前に形成され、融解と再凍結を繰り返してきたラングヨークトル氷河は、最も古い氷が500年前のものだと、氷河学者らは考えている。

 SF映画から飛び出してきたようなこの氷河観光バスは850馬力のエンジンを搭載し、直径2メートルの車輪8個で氷の地形を捉え、スムーズに走行する。

 アイスランド入国時には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査と5日間の隔離措置の両方が義務付けられるが、イタリア人夫妻1組を含む少数の旅行客は、それでもやって来た。

 イタリア人のロッセラ・グレコ(Rossella Greco)さん(30)はこの氷河ツアーについて、AFPに「本当に感極まります。これほどの歳月を経たものに触れると、本当に地球とつながっている気がします」と語る。氷河ツアーの料金は1万アイスランドクローナ(約8200円)だ。

 ラングヨークトル氷河の麓から登る道に沿って、1940年以降の20年ごとの間隔で、氷がどこまであったかを示す標識が立てられている。これを見ると、氷河の薄化がどれだけ速く進行しているかに改めて気付かされる。