【12月3日 CNS】「神の子」の旅立ちを、中国のサッカーファンも追悼した。サッカー元アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)氏が先月25日に死去したことは中国でも速報で伝えられ、北京市のアルゼンチン大使館前に設けられた献花台では多くのマラドーナファンが別れを惜しんだ。

【動画】マラドーナ氏しのび現役時代の姿映す 天津テレビ塔

 献花台には多くの花束のほか、現役時代のマラドーナ氏がプレーする写真や、ワールドカップトロフィーのレプリカも置かれた。マラドーナ氏の背番号「10」を付け、青と白のアルゼンチン代表のユニホームを着た若者は、涙ぐみながら花束を置いた。「謝謝 馬拉多納 光芒万丈的人 一路走好(ありがとう、マラドーナ。光り輝いた人が、無事に天国に行けますように)」というメッセージもあった。

 特に悲しみが深いのは、マラドーナ氏が最も活躍していた時期、彼に夢中になったかつての「少年」たちだ。追悼台に訪れた40代の王さんは「夜中の3時にトイレで起きた時、ニュースを知った。その夜はもう眠れませんでした」と振り返る。翌日の夜、アルゼンチン大使館がマラドーナ氏の献花台を用意すると聞き、朝までまた眠れなくなってしまった。「頭の中でマラドーナの名シーンが次々と浮かび上がってきました。まるで子供の頃に戻ったようでした」

 夜明けとともに家を出て大使館に着いた王さんは、片膝をついて人さし指で空を指し、胸元を引っ張ってキスをした。信仰とアルゼンチンへの愛を象徴するためマラドーナ氏がプレー中に行ったジェスチャーで、王さんはマラドーナ氏への愛を表現した。

 30代後半の楊さんは、青い数字で「10」という数字を入れたロウソクを追悼台に立てた。「サッカーの世界で一時代を代表した数少ない一人です。あまりに早い別れです」と嘆くようにつぶやいた。

 中国人にとって、サッカーはバスケットボールと並ぶ人気スポーツだ。海外トップクラスの試合がテレビの地上波で放映され、スポーツショップにはスター選手のレプリカユニホームが並んでいる。エネルギッシュで自由奔放な南米サッカーは昔から根強い人気があり、長い髪をたなびかせピッチを疾走するマラドーナ氏はその象徴的存在だった。スーパースターの訃報が伝わった際、中国版ツイッター「微博(ウェイボー、Weibo)」では「マラドーナ死去」が検索ワードランキング1位となり、「神のような存在だった」「伝説の5人抜きは忘れない」などの追悼のメッセージが次々と書き込まれていた。(c)CNS/JCM/AFPBB News