【1月1日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって多くの人はとてつもない孤立と向き合っているが、ユダヤ教超正統派の一部の若者にとっては、狭い共同体から踏み出し、外の世界に溶け込む機会となっている。

 コロナ対策のロックダウン(都市封鎖)や集会規制によって、イスラエルのユダヤ教超正統派、すなわち「ハレーディー」の生活リズムは揺さぶられている。

 とりわけ影響を受けているのは、「イェシバ」と呼ばれる神学校で長い年月をかけて延々と「トーラー(Torah、モーセの五書)」を学んでいくという超正統派ならではのサイクルだ。この学びが中断され、大きな影響が生じている。

 姓は明かさずヨアブとだけ名乗った若い男性は、コロナの流行で精神的な危機に陥り、それによってこれまで身を置いてきた排他的で保守的な環境の外の人生を生きることになったと打ち明けた。「コロナは私にこれまでの世界を去る機会を与えくれたのです」とヨアブさんはAFPに語った。

 イェシバでの勉強の日々から引き離されたヨアブさんは、ユダヤ教の戒律を厳然と守る父親と家に閉じこもることになった。「常に緊張状態でした」とヨアブさんはいう。「もう何年もの間、これは自分の生き方ではないと感じていたので、そのときに出て行かなければならないと悟ったのです」

 ヨアブさんは、別の人生を求める若いハレーディーを支援する「ヒレル(Hillel)」という非営利団体について聞いたことがあった。そこでヒレルに連絡を取り、家を出て、現在は18~25歳の13人の若者らとエルサレムにある大きな寮で生活している。

 1991年に設立されたヒレルでは非ハレーディー社会への融合を支援するコースを提供しており、若者らは指導者やソーシャルワーカーから精神的・財政的な援助を受ける。

 寮長のエティ・エリヤフ(Etty Eliyahu)さんは、若いハレーディーは「現代世界について無知で、異性についても何も知らないので、あらゆることを教える必要があります」と説明する。「われわれの仕事は、彼らがこの世界で居場所を見つける手助けをすることです」