【12月2日 Xinhua News】中国農業農村部と中国長江三峡集団は28日、湖北省(Hubei)宜昌市(Yichang)でカラチョウザメの繁殖・放流イベントを共同で実施し、雑種第二代の大型カラチョウザメ150匹を長江に放流した。

 カラチョウザメは中国国家一級重点保護野生動物であり、長江を代表する生物種だ。20世紀後半に人間活動による影響で天然個体群の規模が急激に縮小し、2017年から19年まで3年続けて自然繁殖が確認されていない。今回放流されたカラチョウザメはサイズが大きく、雄が多い。また、近く性成熟に達する個体も多く含まれ、野外個体群の補充に役立つとみられる。

 農業農村部の韓長賦(Han Changfu)部長は長江について、中華民族の母なる川であり、中国の淡水漁業の発祥地、魚類遺伝子の天然の宝庫でもあると指摘。ここ数年、さまざまな要因で長江の水生生物資源が衰退しているとし、長江の水生生物、特に希少種、絶滅危惧種を保護することは一刻を争う問題だと説明した。

 同部は長江の水生生物保全を強化するため、長江沿岸の各省・直轄市とともに長江での禁漁・漁業廃止に注力している。カラチョウザメや長江イルカなどの希少種、絶滅危惧種を救う行動計画を実施し、水生生物の繁殖・放流への取り組みを続け、長江流域で各種魚類を毎年50億匹以上放流している。また、来年1月1日より長江流域の重点水域で画期的な10年間の禁漁を実施するとしている。

 今回の放流に先立ち、同部は中国長江三峡集団と「長江流域の水生生物と生息地の保護・復元に向けた戦略的提携枠組み協定」に調印した。長江の水生生物保護と生息地復元に向けた長期的な体制・メカニズムを構築し、水域の生態系復元に関する取り組みを共同で強化する。また、絶滅危惧種の救済活動を実施し、重要な生息地を復元するほか、資源に対するモニタリングや評価を強化し、水生生物保護基金会の設立を推進するなどとしている。(c)Xinhua News/AFPBB News