【12月2日 AFP】中国高官が、オーストラリア軍に関連する扇動的な画像をツイッター(Twitter)に投稿した問題で、同社は1日、豪からの削除要請を退けた。

 11月30日、中国の趙立堅(Zhao Lijian)報道官はツイッターに、豪の兵士に見える人物がアフガニスタンの子どもの喉に血まみれのナイフを突き付けている加工画像を投稿。これを受けて豪政府は激しい怒りをあらわにした。

 この数日前には、オーストラリアの検察当局が、2005~16年にアフガニスタンで豪兵士19人が犯したとされる戦争犯罪について、捜査を開始したと発表していた。

 スコット・モリソン(Scott Morrison)首相は、このツイートについて「不快極まりない」と非難。ツイッターには画像の削除を求め、中国には謝罪を要求していた。

 これを受けてツイッターは、「センシティブな」内容を含む投稿に指定したとする一方で、各国政府の公式アカウントによる政治的な時事問題に関するコメントや「外交政策上の応酬」は通常、規約違反には当たらないとの見方を示した。

 中国では、国民の大半がツイッターの使用を禁じられている。また中国政府は数十年にわたり、広範な人権侵害を行っているとの非難にさらされている。

 ニュージーランドなどオーストラリアの同盟国の一部は、問題のツイートについて懸念を表明。ジャシンダ・アーダーン(Jacinda Ardern)NZ首相は記者らに対し「事実に反する画像が使われており、本物の画像ではないため、われわれは中国当局にこの懸念を直接伝えた」と述べた。

 一方在豪中国大使館の報道官は、豪政府が騒ぎ過ぎていると批判。「一部の豪政治家とメディアからの怒号は、趙氏のツイートの誤解と過剰反応でしかない」と指摘した。

 同大使館は、豪高官らは「一部の自国兵士の恐ろしい残虐行為から国民の目をそらす」とともに、「ナショナリズムを高揚させる」狙いがあるとの見解を示した。(c)AFP