【12月1日 AFP】ブラジルにあるアマゾン(Amazon)熱帯雨林の消失面積がこの1年間で再び急拡大し、過去12年間で最大だったことがブラジル国立宇宙研究所(INPE)の衛星監視データで明らかになった。

 INPEは11月30日、監視システム「PRODES」による森林破壊の追跡・分析結果を発表。これによると、アマゾンの約60%が属するブラジル領では今年7月までの1年間で計1万1088平方キロが消失。前年比で9.5%増加し、消失面積1万2911平方キロを記録した2008年以降最大となった。

 環境保護団体の連合「ブラジル気候観測所(Brazilian Climate Observatory)」は、「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が世界経済をまひさせた年においても、ブラジルはこのような森林破壊によって、主要な温室効果ガス排出国の中でおそらく唯一排出量を増加させた国となった」と指摘した。

 ブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領は気候変動に懐疑的で、2019年1月の就任以来、自然保護区を鉱業や農業関連産業に開放するよう推進する一方で、環境保護プログラムの予算を大幅に削減している。環境保護活動家らは、そうしたボルソナロ政権の政策がアマゾンの森林破壊に拍車をかけていると批判する。

 ボルソナロ大統領が設置したアマゾン対策本部を率いるアミルトン・モウラン(Hamilton Mourao)副大統領は今回の分析結果を発表した記者会見で、政府は森林破壊と闘っていると主張。「私がボルソナロ大統領の名を借りて携えてきたメッセージは、今後も環境保護機関の仕事を支えるために、科学・技術分野と協力していくというものだ」と語った。(c)AFP