■あつあつチーズでコロナも死滅

 スイス・チューリヒを拠点とする感染症専門家クリスチャン・ルエフ(Christian Ruef)教授の説明は簡潔だ。「フォンデュ鍋の中では、チーズがあらゆるウイルスを殺すのに十分な温度に達する」

 昔ながらにバシュランチーズとグリュイエールチーズを半々に混ぜたものであろうと、トマトやアミガサタケなどで仕上げたフォンデュであろうと、浸して食べること自体は何のリスクももたらさないわけだ。

 だが、少人数のグループにとどめておくこと、場合によっては2人だけにしておくことを、ルエフ教授は勧めている。

「夜の会食のために狭い空間内で皆が一緒のテーブルにつき、大声で話したり、笑ったり、歌ったりもすると、感染の問題が生じる」と、ルエフ教授は指摘する。

「これらは、ウイルスを拡散させるのに理想的な条件だ」

 冬季には通常1日に最大300皿のフォンデュを提供しているスイス・ジュネーブの由緒あるレストラン「カフェ・ドゥ・ソレイユ(Cafe du Soleil)」の支配人、ジェラルド・ボンジオアンニ(Gerald Bongioanni)氏は、簡潔に「リスクはフォンデュ鍋の中ではなく、人が集まることにある」と述べている。

 スイス西部マルティニ(Martigny)にあるチーズ専門店「ラ・フロマテック(La Fromatheque)」の共同マネジャーを務めるベルトラン・ガビウ(Bertrand Gabioud)氏は、フォンデュが国民を助けてパンデミックを切り抜けさせるためにちょうどよい料理かもしれないと考えている。

 ガビウ氏は、AFPに「フォンデュはコロナ禍でも楽しめる料理だ。人々が陽気な気分と和やかさを大いに必要としているのに、とても合っている」と語った。(c)AFP/Agnes PEDRERO