【11月28日 AFP】中国初の国産原子炉「華竜1号(Hualong One)」が27日、稼働を開始した。エネルギー安全保障と基幹技術の分野で欧米への依存を弱めたい中国政府にとって、重要な一歩となった。

 中国核工業集団(CNNC)によると、27日にグリッド接続を開始した華竜1号は年間100億キロワット時の発電が可能で、炭素排出量を816万トン削減できる。

 CNNCは稼働開始について、「外国による原子力技術の独占を打ち破り、中国が公式に技術先進国の先頭集団に仲間入りしたことを示すもの」だと評価した。

 国家能源局(エネルギー局、NEA)によると、国内原子力発電所の2019年度の電力供給量は年間需要量の5%に満たなかったが、2060年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指す中国政府の取り組みが進めば、その割合は高まることが予想される。

 華竜1号の建設は2015年に着工し、現在は国内外で6基の建設が進められている。中国東部・福建(Fujian)省の発電所に設置されているものは、現在実施されている試験終了後、年末までに商業運転を開始する。

 中国には47の原子力発電所がある。総発電容量は4875万キロワットで、米国、フランスに次いで世界で3番目に多い。また建設中の原発は13と世界で最も多い一方、環境や安全への懸念も指摘されている。(c)AFP