【11月28日 AFP】サッカー元アルゼンチン代表のレジェンドである故ディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)氏は、私生活で複雑な女性関係や認知訴訟に悩まされて続けてきた。同氏の認知している子どもと認知していない子どもはかなりの人数に上り、その財産分与は代理人にとって複雑な仕事になるとみられている。

 遺族に近しい情報筋は匿名を条件に、「大きな争いになるだろう。彼は遺言を作成していなかった」と明かした。

 マラドーナ氏は現役時代の全盛期にスペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)やイタリア・セリエAのナポリ(SSC Napoli)、アルゼンチン代表でプレーして高額の給与を稼いでは浪費していたのと同時に、投資でも賢く財産を築いてきた。25日にこの世を去って以降、資産総額は推定9000万ドル(約93億6000万円)に上るとのニュースが駆け巡っている。

 昨年は娘のジャンニーナ(Giannina Maradona)さんと対立し、マラドーナ氏は怒りのあまり財産はすべて寄付すると脅していた。しかしながら、アルゼンチンの法律では放棄できるのは資産の5分の1に限られており、少なくとも3分の2は配偶者もしくは子孫に残さなければならない。

 15歳のときから交際していた唯一の妻で、2003年に離婚したクラウディア・ビジャファーニェ(Claudia Villafane)さんとの間には、33歳のダルマ(Dalma Maradona)さんと31歳のジャンニーナさんがおり、認知していたのは長年この娘2人だけだった。

 しかし、マラドーナ氏には他にも子どもがおり、サッカーチームが作れるほど子だくさんだったとやゆされていた。そのため、代理人を務めるマティアス・モルラ(Matias Morla)氏にとって、財産分与の仕事は複雑なものになると懸念されている。

 サッカー界のアイコンだったマラドーナ氏は近年、ダルマさん誕生の数か月前に生まれたディエゴ・マラドーナ・ジュニア(Diego Maradona Jr.)さんを含め、3人の子どもの認知を余儀なくされてきた。

 1986年のW杯メキシコ大会(1986 World Cup)で活躍した後、同年にはイタリア人歌手のクラウディア・シナグラ(Claudia Sinagra)さんとの間にディエゴ・ジュニアさんが誕生したが、認知まで29年もの年月を要した。ディエゴ・ジュニアさんは新型コロナウイルスに感染し、同氏の葬儀のためにイタリアを出発することはできなかった。

 晩年の数か月を最も近くで連れ添った元恋人のバレリア・サバライン(Valeria Sabalain)さんとは、1996年に娘ジャナ(Jana)さんをもうけて2008年に認知。2013年には別の元恋人であるベロニカ・オヘダ(Veronica Ojeda)さんとの間に、もう一人の息子ディエゴ・オヘダ(Diego Ojeda)くんが生まれた。

 しかし、マラドーナ氏は他にも認知訴訟を抱えており、代理人によると同氏が薬物のリハビリで滞在していたキューバには、少なくとも3人の子どもがいるという。(c)AFP/Liliana SAMUEL