【11月28日 AFP】米中央情報局(CIA)のジョン・ブレナン(John Brennan)元長官は27日、イランの著名核科学者モフセン・ファクリザデ(Mohsen Fakhrizadeh)氏が暗殺された事件について、地域紛争をあおる恐れのある「犯罪」行為だと主張した。イラン政府は同氏の暗殺について、イスラエルの関与を指摘している。

 ブレナン氏は事件に関する一連のツイートで、「これは犯罪行為であり、非常に無謀だった。死者を出す報復や、新たな地域紛争につながる恐れがある」と主張。「外国政府がファクリザデ氏の暗殺を承認あるいは遂行したかは分からない」と断った上で、「国が後押ししたテロ行為は重大な国際法違反であり、外国の当局者を殺害する政府が増えるようになる」と批判した。

 ブレナン氏は、ファクリザデ氏はテロリスト認定を受けておらず、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)やイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」のいずれにも参加していなかったと指摘。これらの組織は、攻撃の合法的な標的となり得る。

 一方でブレナン氏はイラン政府に対し、報復したいという衝動に耐え、「信頼できる米国の指導者が国際舞台に戻るまで待つ」よう求めた。同氏は、バラク・オバマ(Barack Obama)前米大統領とジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領の政権下で2013~2017年にCIA長官を務め、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領には非常に批判的な立場を取っている。

 ブレナン氏はバイデン氏の選挙活動には参加しておらず、大統領就任に向けた準備にも関与していないとみられるが、バイデン氏は今週、CIAでブレナン氏在任時に副長官を務めていたアブリル・ヘインズ(Avril Haines)氏をCIA次期長官に指名した。(c)AFP