【11月26日 AFP】オランダの極右ポピュリストとして知られるティエリー・ボーデ(Thierry Baudet)氏が20日、新型コロナウイルスを世界に広めた黒幕は米投資家で慈善活動家のジョージ・ソロス(George Soros)氏だとする陰謀論を支持する発言をした。ある上院議員が明らかにした。ボーデ氏は反ユダヤ発言をめぐる問題で、欧州連合(EU)懐疑派政党「民主フォーラム(FvD)」の党首を辞任したばかり。

 オランダのメディアが25日、国会議員のニッキ・ポウフェルバイ(Nicki Pouw-Verweij)上院議員の書簡を引用して報じたところによると、ボーデ氏は20日、党幹部らとの夕食の席でこのような発言をしたとされる。ボーデ氏が「急進化」し、陰謀論を支持するようになったことへの懸念から、公表に踏み切ったという。

 ポウフェルバイ氏の書簡によると、ボーデ氏は新型ウイルスについて、「われわれから自由を奪い、新たな世界征服に乗り出すために(中略)ジョージ・ソロスらがこの世界にもたらした」と明言したという。

 リベラル勢力を支援する大富豪のソロス氏はかねて、極右勢力が言いはやす陰謀論の標的にされてきた。

 ボーデ氏はさらに、ナチス・ドイツ(Nazi)を賛美するメッセージを発信したFvD青年部のメンバーらについて、「IQが非常に高い」として除名を拒否。さらに、「私の知人は、ほぼ全員が反ユダヤだ」とポウフェルバイ氏に述べたという。

 オランダの公共放送局NOSによると、夕食会に出席した別の党員2人が、ポウフェルバイ氏の発言は事実だと認めた。

 これに対しボーデ氏は、自身の記憶とは全く異なると反論。NOSによると、ボーデ氏はトーク番組の中で、「そのような発言をしたこともないし、反ユダヤ的な思想も持っていない」と述べた。(c)AFP